2019年4月17日
毎年ゴールデンウィーク時期の4月30日から5月6日にかけて執り行われる、武蔵総社 大國魂神社の例大祭「くらやみ祭」(東京都府中市)。かつては街の明かりを消した深夜の暗闇の中で行われていたため「くらやみ祭」と呼ばれるようになった。
以前、リアルジャパン'オンでもこの「くらやみ祭」を撮影取材させていただいたことがある。
祭のクライマックスでは、8基の大神輿と6張の大太鼓が日没とともに渡御巡行される。同じ東京都内でも江戸・下町のお祭りとはひと味もふた味も違い、はじめて観るその光景には厳粛な神々しさと歴史深さを感じずにはいられない。
巨大な太鼓の強烈な響き、青竹の棒で道筋を清める儀式、神輿担ぎ手の白装束に烏帽子といった独特の祭衣装、8基の神輿の様々な造形美とそしてその内の神輿1基だけがなぜか違った渡御巡行ルートを通るなど、本書の著者と同じく「ナンだ?」と思うことばかりであった。
著者の祭りに対するピュアな好奇心から生まれた「ナンだ?」をキュートなイラストを用いて解りやすく紐解いたこの一冊には、祭のなぜ? どうして? に加えて、1000年以上にわたって続く歴史から受け継がれた「くらやみ祭」をより良く維持・伝承するために日々活動するお祭りを支える人々の努力、そして著者の長期取材によって育まれた街の人々とのコミュニケーションが、カジュアルに描かれている。
この一冊を読んでから「くらやみ祭」にお出かけすれば、府中の街や歴史、お祭りに関わる人々の背景などを通して、今まで以上により味わい深く「くらやみ祭」をお楽しみいただけることだろう。
real Japan 'on
■1000年以上つづく例大祭 くらやみ祭ってナンだ?
著:かぶらぎみなこ
発行所:株式会社 遊泳舎
定価:本体1800円+税
判型:A5判(ソフトカバー)
頁数:144P
発売日:2019年4月11日
〈発行元オフィシャルサイト〉